最終更新:2026年10月

矯正治療の患者を増やしたいものの、何から始めるべきか迷っている歯科医院の院長・経営者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、矯正歯科のマーケティングの進め方を、患者の特徴の整理から、オンライン・オフラインそれぞれの方法と費用の目安、医療広告ガイドラインで確認したいルールまで解説します。
自院で何から着手するかを整理する際の参考にしてください。
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矯正歯科のマーケティングとは

矯正歯科のマーケティングとは、矯正治療を検討している人に自院を知ってもらい、比較・検討のための情報を整え、相談から治療開始までの流れを設計する取り組み全体を指します。
これに対し、ホームページや広告の作成は、マーケティング施策の一部に当たります。
全体設計をせずに個別の広告手法だけを進めると、費用をかけても手応えを判断しにくくなる場合があるため、まず全体の設計を整理しておくことが大切です。
矯正歯科を取り巻く環境として、診療科目に矯正歯科を掲げる歯科診療所は2023年10月1日時点で全国に26,194施設あり、歯科診療所全体の約4割を占めています。
前回調査(2020年)より739施設増えており、患者は多くの選択肢の中から医院を選ぶ状況にあります。
また、矯正治療は一部の疾患を除いて健康保険が適用されない自費診療であり、費用や治療内容は医院ごとに異なります。
このため、治療内容や費用に関する情報を、検討中の患者に分かりやすく示すことが重要です。矯正歯科のマーケティングでは、これを患者理解、発信内容の設計、手段の選択、効果の検証という4つの手順で進めていきます。
参考:厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」施設編
次章から、この手順に沿って解説します。
矯正歯科のマーケティングで押さえたい患者の特徴

マーケティングの手順は、矯正治療を検討する患者の目的や意思決定の傾向を理解することから始まります。
この章では、それらを確認する方法を順を追って解説します。
見た目・噛み合わせ・部分矯正など目的別のニーズを知る
矯正治療を検討する目的には、見た目の改善、噛み合わせの改善、部分矯正による一部の歯の改善などがあり、目的によって患者が確認したい情報(=ニーズ)も異なると考えられます。
▼目的別ニーズ例
| 矯正の目的 | 患者が確認したい情報の例 |
|---|---|
| 見た目の改善 | 仕上がりのイメージ、矯正装置の目立ちにくさ |
| 噛み合わせの改善 | 機能面の改善内容、医学的な説明 |
| 部分矯正 | 対応できる歯の範囲、治療の負担 |
そのため、まずは来院している患者がどのような目的で矯正を検討したのかを整理し、自院の患者像の仮説を立てます。
▼矯正の目的を振り返るための観点例
- 初回相談で患者が最初に話す悩み(見た目・噛み合わせなど)
- 相談のきっかけ(結婚式などの予定、歯科健診での指摘、家族のすすめなど)
- 希望する範囲(全体矯正か部分矯正か)
- 選ばれている矯正装置の種類
目的とニーズを整理したら、次は治療の費用と期間の面から患者の意思決定の傾向を確認します。
費用と期間から患者の意思決定は慎重になると理解する
矯正治療は費用が高額になりやすく治療期間も長いため、患者の意思決定は慎重になりやすいと考えられます。
日本臨床矯正歯科医会によると、矯正治療の費用は80万円から120万円が目安とされ、地域や症例の難易度、装置の種類によって変動します。また、成人の場合、装置の装着期間は平均2〜3年、装置を外した後の保定期間も平均1〜3年とされています。
大きな費用と長い期間を伴う決断のため、複数の医院で相談したり、時間をかけて情報を集めたりする患者もいます。
この前提に立つと、医院に必要なのは即断を促すことではなく、費用・期間・リスクといった判断材料を患者が確認できる状態に整えることと言えます。
患者や紹介元への聞き取りでニーズを実際に確かめる
矯正の目的や知りたい情報の仮説を立て、意思決定が慎重になる理由を理解したら、次はそれらが自院の患者に当てはまるかを確かめます。推測のままでは、患者が知りたい情報と発信内容がずれる可能性があるためです。
聞き取りの段階では、たとえば次のような相手に話を聞きます。
| 聞き取りの相手 | 確認する内容 |
|---|---|
| 受診中の患者・相談に来た患者 | ・自院を知ったきっかけ(検索・地図・紹介・看板など) ・治療を決めた理由、迷った点、他院と比較した際の決め手 ・事前に調べても分からず、相談で初めて解消した疑問 |
| 紹介元の一般歯科 (提携先) | ・紹介している患者の傾向 ・自院がどのように説明されているか |
対面では率直な意見を話しにくい場合もあるため、アンケート用紙など答えやすい形式を用意する方法もあります。
患者像が明確になったら、次はそれをもとに発信内容の設計に進みます。
矯正歯科のマーケティングで患者に選ばれるための設計

患者のニーズを確かめたら、対象とする患者像を絞り、発信内容を設計します。
自院の診療体制に合う患者像を整理する
最初に、前章で整理したニーズをふまえ、自院の診療体制に合う患者像を整理します。
すべての目的・年代に向けた発信は、結果としてどの患者にも特徴が伝わりにくくなる場合があるためです。
絞り込みの基準は、自院の診療体制や、今後力を入れたい診療に置きます。たとえば、平日夜間や土日に診療している医院であれば、通勤・通学しながら通院したい人が対象の候補になります。
▼患者像を絞り込む基準の例
- 対応できる矯正装置の種類(ワイヤー・マウスピースなど)
- 症例の経験が多い治療の種類
- 診療時間(平日夜間・土日の診療の有無)
- 立地と通院手段(最寄り駅・駐車場の有無など)
ここで決めた患者像が、発信内容の基準になります。
他院との違いを患者目線の言葉にする
患者像が絞られたら、他院との違いを患者が判断できる言葉で表現します。
設備名や術式名をそのまま並べても、患者にはその価値が伝わりにくい場合があるため、たとえば以下のように、患者目線の表現に変換します。
▼表現例
| 伝わりにくい表現例 | 患者目線の表現例 |
|---|---|
| 〇〇装置を導入 | 目立ちにくい装置も選べます |
| 認定医が在籍 | 認定医の資格を持つ歯科医師が治療を担当します |
ただし、医療広告では「地域No.1」「最高水準」のような他院との比較や最上級の表現は、禁止されています(詳しくは後述の医療広告ルールの章で解説します)。
違いは優劣ではなく、「自院は何に対応していて、どのような患者に向いているか」という事実の説明として書きます。
▼患者に伝わる言葉にするコツ
- 患者アンケートで挙がった「決め手」を表現の参考にする
- 専門用語には患者向けの説明を添える
言葉が決まったら、次は患者へ伝える情報を整えます。
治療内容や料金を分かりやすく伝える
矯正治療は自費診療のため、治療内容と費用を分かりやすく示すことが重要です。
費用の総額が分からないと、患者は比較・検討を進めにくいためです。
発信で伝える主な内容は次のとおりです。このうち費用とリスク・副作用の説明は、医療広告ガイドライン上も掲載が求められる事項です(詳しくは後述の章で解説します)。
▼発信で伝える内容の例
- 治療の流れと期間の目安
- 装置ごとの特徴
- 費用(検査・診断料、装置代、調整料、保定装置など、何にいくらかかるか)
- 支払い方法(分割払い・デンタルローンなどの選択肢)
- リスク・副作用の説明
次章からは、整理した内容を届ける方法について、オンライン・オフラインに分けて解説します。
矯正歯科のオンラインマーケティング方法と費用目安
オンラインの方法は、インターネット上に自院の情報や広告を掲載する手段です。
いずれも医療広告ガイドラインの規制対象ですが、患者が自ら検索して閲覧する媒体は、一定の要件(限定解除)を満たせば治療内容や費用まで掲載できます(費用を支払って表示させる広告は対象外)。
主な方法と費用の目安は次のとおりです。
| 方法 | 費用の目安 | 限定解除 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ホームページ | 制作費無料から100万円以上(無料の場合は別途月額運用費用が必要)+月額運用費5,000円から3万円程度 | 対象になり得る※ | 治療内容・費用・リスクまで詳しく掲載できる |
| ポータルサイト | 無料から月4万円程度 | 対象になり得る※ | 地域と業種で探す人向けに基本情報を掲載できる |
| Googleビジネスプロフィール(Googleマップ) | 無料 | 対象になり得る※ | 地図検索の結果に医院情報・口コミが表示される |
| SNS | アカウント運用は無料(広告は予算を設定して配信する運用型) | 対象になり得る※(広告配信は対象外) | 院内の雰囲気や治療の流れを発信できる |
| Web広告(リスティング広告) | クリック課金。1日の予算を自分で設定でき、月数万円程度から | 対象外 | 検索結果に広告を表示し、短期間で反応を確認できる |
※2026年8月NTTタウンページ調べ。費用は税込みの目安です。実際の費用は依頼先・運用条件・地域により変動します。※「限定解除」の要件と、対象になるかの判断は、医療広告ルールの章で解説します。
ホームページで情報を見つけてもらいやすくする
ホームページは、治療内容・費用・リスクの説明までまとめて掲載できる媒体です。
制作費は、ページ数や写真・動画の撮影、Web予約システムの有無などで変わります。
▼開設・運用で確認したい点
- 制作費のほかにかかる月額の費用(サーバー・保守・更新代行など)
- 料金や診療時間の変更をすぐ反映できる更新体制
- 問い合わせ・予約の窓口(電話・フォーム)の設置と、窓口までの分かりやすい導線
ポータルサイトに掲載する
ポータルサイトへの掲載は、「地域名+矯正歯科」のように地域と診療内容で探している人に、診療時間・住所・連絡先といった基本情報を示せる方法です。
ホームページを開設していない段階でも、オンライン上に情報を用意できます。
▼ポータルサイト掲載時の確認点
- 複数のサイトに掲載している場合、診療時間や費用の記載が食い違っていないか
- 診療内容の分類(矯正歯科)が正しく登録されているか
- 口コミ欄がある媒体では、投稿への返信方針を決めているか
たとえば、NTTタウンページが運営するiタウンページでは、無料の「Myタウンページ」に登録すると医院名・住所・電話番号などの基本情報を掲載でき、写真や紹介文の掲載にも対応しています。掲載内容を広げたい場合は、月額550円(税込)からの有料プランも用意されています。
Googleマップで近隣の患者に届ける
Googleビジネスプロフィールは、Google検索やGoogleマップの検索結果に医院情報を無料で掲載できるサービスです。「〇〇市 矯正歯科」など、地域名を含めた検索では地図と一緒に医院情報が表示されるため、近隣で医院を探している人が診療時間や場所を確認できます。
Googleはローカル検索結果の順位を決める主な要素として関連性・距離・知名度の3つを挙げ、ビジネス情報を充実させて最新の状態に保つよう案内しています。
整えておきたい項目は次のとおりです。
▼登録を整えたい項目の例
- 診療時間(祝日などの特別な診療時間を含む)
- 院内・外観の写真
- 診療内容のカテゴリ(矯正歯科など)
- 口コミへの返信(ビジネスのオーナー確認が必要)
いずれも医院の基本情報の範囲のため、限定解除の有無にかかわらず整えられます。
なお、口コミについての注意点は、後述の章で解説します。
SNSで相談前に知りたい情報を伝える
InstagramやX(旧Twitter)、YouTubeなどのSNSは、装置の種類や通院の流れ、院内の雰囲気といった「相談前に知りたい情報」を発信できる方法です。
相談をためらう人に、治療のイメージを事前に伝える手段として活用できます。
治療前後の写真(ビフォーアフター)や患者の体験談の扱いに制限がある点は、ホームページなどほかの媒体と同様です。SNSで扱う場合も、後述の医療広告ルールを必ず確認してください。
▼発信テーマの例
- 矯正装置の種類と一般的な特徴の紹介
- 初回相談から治療開始までの流れ
- 通院時にかかる時間や頻度の説明
- 矯正に関するよくある質問への回答
Web広告で短期的な反応を確認する
Web広告は、費用を支払ってインターネット上に広告を表示する方法の総称で、複数の種類があります。
| Web広告の種類 | 特徴 |
|---|---|
| リスティング広告(検索連動型広告) | 「矯正歯科」などの検索結果画面に表示される。調べている人に直接情報を示せる |
| ローカル検索広告 | Googleマップや検索のローカル検索結果に表示される。住所アセット(Googleビジネスプロフィールとの連携)の設定が必要 |
| ディスプレイ広告 | Webサイトやアプリの広告枠に画像などで表示される。幅広い層に向けた認知向け |
| SNS広告 | SNSの画面に配信される。年齢や地域などの条件で配信先を設定できる |
通院圏が限られる矯正歯科では、地域を絞って配信できるリスティング広告や、マップに表示されるローカル検索広告が代表的な選択肢になります。
クリック課金の仕組みで、配信地域や1日の平均予算を設定して小規模に始められるため、どの検索語からの反応が多いかを短期間で確認する用途に向いています。
一方で、広告を配信する各サービスには医療分野の審査基準があります。たとえばリスティング広告を配信できるGoogle広告では、ヘルスケア関連の広告に国・地域ごとの制限が設けられています。
また、費用を支払って検索結果に表示させる広告は、医療広告ガイドラインの「限定解除」の対象外となるため、治療効果の表現や治療前後の写真は掲載できません。広告のリンク先ページの内容も含めて、後述の医療広告ルールの章を確認しながら進める必要があります。
矯正歯科のオフラインマーケティング方法と費用目安
オフラインの方法は、通院圏に住む人や地域を行き来する人に、医院の存在と矯正相談の受付を知らせる手段です。
インターネットで検索しない人にも情報を届けられる点が特徴です。
看板・チラシ・フリーペーパーはいずれも医療広告ガイドラインの規制対象で、限定解除の対象にはならず、掲載できる内容は診療科目・診療時間・場所などの基本情報が中心になります。そのためこれらの方法では、ホームページやポータルサイトなどの掲載先を記載しておくと、詳しい情報の確認先をあわせて案内できます。
主な方法と費用の目安は次のとおりです。
| 方法 | 費用の目安 | 限定解除 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 看板・屋外広告 | 野立て看板:掲載料月1万円台から20万円程度+製作・設置費/電柱広告:月2,000円から7,000円程度 | 対象外 | 通行する人に場所と診療内容を継続的に知らせられる |
| チラシ・ポスティング | 配布料1枚3円台から12円程度+印刷費 | 対象外 | 通院圏の世帯を選んで配布できる |
| フリーペーパー | 小枠で数万円程度から | 対象外 | 地域の生活情報と一緒に読まれる媒体に掲載できる |
※2026年8月NTTタウンページ調べ。費用は税込みの目安です。実際の費用は媒体・地域・配布条件により変動します。
看板や院内掲示で地域の人に知ってもらう
看板や駅・電柱の広告は、医院の場所と「矯正の相談ができること」を、通行する人に継続的に知らせる方法です。
設置の前に確認したい点は次のとおりです。
▼設置前の確認ポイント
- 掲載料のほかにかかる費用(看板の製作費・設置費)
- 自治体の屋外広告物条例(設置場所や大きさの基準、申請の要否)
- 通院圏から見える場所か(駅前・幹線道路沿いなど)
また、院内の掲示は、通院中の患者やその家族に、矯正相談を受け付けていることを伝える方法です。一般歯科として通院している患者に向けて、待合室のポスターや受付のリーフレットなどで日常的に案内できます。
なお、医院内の掲示や院内で配布するパンフレットは、情報の受け手が既に受診している患者などに限られるため、通常は医療広告には当たらないとされています。
チラシやポスティングで近隣の人にリーチする
チラシのポスティングは、通院圏の世帯を地域で選んで、医院の情報を紙で届ける方法です。
費用は印刷費と配布料で構成され、配布料は部数・地域・配布方法によって変わります。配布エリアは、来院している患者の居住地域が参考になります。
▼作成時の確認ポイント
- 配布エリアが通院圏と合っているか
- 配布方法(全戸配布か、戸建て・集合住宅の別など)を指定できるか
- チラシからの問い合わせを確認する方法を決めているか(問診票に「チラシを見た」の項目を設けるなど)
- 二次元コードや医院名を載せて、ホームページやポータルサイトの情報を確認できるようにしているか
フリーペーパーで地域の人に矯正情報を届ける
フリーペーパーや地域情報誌への掲載は、地域の生活情報と一緒に医院の情報を届けられる方法です。
掲載料は誌面の枠の大きさによって変わり、小さな枠であれば数万円程度から掲載できる媒体もあります。
掲載前に確認したい点は次のとおりです。
▼掲載前の確認ポイント
- 配布エリアと通院圏が重なっているか
- 発行部数と配布方法(設置型か各戸配布か)
- 読者層が、対象とする患者像と合っているか
矯正歯科のマーケティングで相談から治療開始・紹介につなげるには

問い合わせや初回相談まで進んだ患者への対応は、治療開始や、その後の紹介にも関わる重要な段階です。
この章では、初回相談での対応や治療中のフォロー、取り組みを見直すための指標について解説します。
初回相談やカウンセリングで不安に応える
初回相談では、費用・期間・痛み・見た目といった患者の不安に丁寧に応えます。
矯正治療は高額で期間も長いため、その場で治療開始の判断を求めるのではなく、患者が持ち帰って検討できる資料を用意することも1つの方法です。
資料を用意する場合は、説明する内容と併せて院内で統一しておくと、誰が相談を担当しても説明の水準をそろえられます。
▼初回相談で渡したい資料の例
- 治療の流れと通院頻度・期間の目安
- 治療計画と費用の総額の見通し(追加費用の条件を含む)
- 支払い方法の選択肢(分割払い・デンタルローンなど)の案内
- リスク・副作用と対応方針の説明
- 相談後の問い合わせ・再相談の窓口の案内
治療中の丁寧な説明・紹介元との連携を続ける
治療期間が長い矯正歯科では、治療中の丁寧な説明や相談しやすい環境づくりも大切な取り組みです。
治療の進み具合を定期的に説明する、装置のトラブル時の連絡先を明確にする、といった対応が挙げられます。
また、紹介元の歯科医院へ治療経過を報告するなど、紹介元との継続的な関係づくりも重要な取り組みの1つです。
なお、口コミは患者が自発的に投稿したものが前提で、医院が費用負担などの便宜を図って投稿を依頼する形は認められていません(詳しくは後述の医療広告ルールの章で解説します)。
相談や治療開始につながる指標を確認して見直す
取り組みの効果を確認するために、問い合わせ数・初回相談数・治療開始数などを記録します。
感覚だけでは、費用に見合う手応えがあったのか判断しにくいためです。
たとえば、患者が自院を知ったきっかけ(検索・地図・紹介・看板など)の内訳は、初回相談の問診票やアンケートに項目を設けることで確認できます。月に1回など時期を決めて数字を確認し、反応の少ない方法は内容や続け方の見直しを検討します。
▼段階ごとに確認したい指標例
- 問い合わせ数と、問い合わせの経路の内訳
- 初回相談数と、相談に至らなかった問い合わせの内容
- 相談から治療開始に進んだ件数
- ホームページの閲覧数や広告のクリック数(オンラインの場合)
こうした取り組み全体の前提として、医療広告のルールを最後に確認します。
矯正歯科のマーケティングで守る医療広告ルール
医療機関の広告は、厚生労働省の「医療広告ガイドライン」(医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針)による規制の対象です。
チラシや看板だけでなく、ホームページやSNSでの発信も対象に含まれ、広告に掲載できるのは、原則として次のような「広告可能事項」に限られます。
▼広告可能事項の例
- 診療科目(歯科・矯正歯科など)
- 医院の名称・所在地・電話番号
- 歯科医師の氏名
- 診療日・診療時間、予約による診療の有無
これ以外の治療内容や費用などを掲載するには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります(限定解除)。
▼限定解除の4つの要件
- 患者が自ら求めて入手する情報(ホームページなど)であること
- 問い合わせ先が記載されていること
- 自由診療について、治療内容・費用・治療期間や回数を掲載していること
- 自由診療の主なリスク・副作用を掲載していること
ここからは、費用の書き方や表現の注意点を順に確認します。
矯正は自費治療として費用と自由診療である旨を併記する
矯正治療は一部の疾患を除き自由診療であるため、ホームページなどで治療内容を紹介する場合は、自由診療である旨と標準的な費用の併記が求められます。
特に費用については、「自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項」として、標準的な費用を分かりやすく示す必要があります。標準的な費用が明確でない場合は、最低金額から最高金額までの範囲を示します。
別ページへのリンクだけで済ませたり、極端に小さな文字で載せたりする形は認められません。
比較優良広告や誇大広告にあたる表現を避ける
医療広告ガイドラインでは、他院との比較や誇大な表現にあたる広告が禁止されています。
禁止されている類型と表現例は次のとおりです。
| 禁止される広告の類型 | 表現例 |
|---|---|
| 虚偽広告 | 「絶対に安全」など、事実に反する内容 |
| 比較優良広告(他の病院等と比較して優良である旨の広告) | 「日本一」「No.1」「最高」など。事実であっても認められない |
| 誇大広告(誇大な広告) | 事実を不当に誇張し、誤認させる表現 |
| 品位を損ねる広告 | 「今なら〇円」など費用の安さを強調する表現(厳に慎むべきとされる) |
広告の文面を作る際は、他院との比較や成果の保証ではなく、自院の診療体制の事実を説明する表現になっているかを確認します。
ビフォーアフターや体験談は掲載の条件を確認して扱う
治療前後の写真は条件を満たした場合に限り掲載できる一方、患者の体験談は広告には使えません。禁止される類型として「患者等の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談」と「患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等」が挙げられています。
治療前後の写真・体験談・口コミの扱いは、次のように分かれます。
| 掲載するもの | 医療広告での扱い |
|---|---|
| 治療前後の写真 | 限定解除の対象となる媒体(ホームページなど)で、治療内容・費用・主なリスクや副作用などの詳細な説明をそれぞれの写真に付した場合は掲載できる |
| 患者の体験談 | 医院が誘引の目的で紹介することは、内容にかかわらず認められない |
| 口コミサイトへの書き込み | 患者が自発的に投稿したものは広告に該当しない(医院が費用負担などの便宜を図っていない場合)。医院のホームページへの転載や、有利な内容だけの抜粋紹介は認められない |
また、医療広告ガイドライン以外にもSNSや広告配信サービスは独自の広告ポリシーを定めており、治療前後の写真の掲載に条件や制限を設けている場合があります。
参考:厚生労働省「医療広告ガイドライン」
歯科医院に当てはまる広告規制については、以下の記事で詳しく紹介しています。
歯科広告で守るべき医療広告ガイドライン|媒体の選定方法と費用相場
矯正歯科のマーケティングに関するよくある質問

矯正歯科のマーケティングについて、よくある質問と回答をまとめました。
マーケティングはどのくらいの予算から始めるとよいですか
無料で始められる方法があるため、予算に応じて取り組みを始められます。
Googleビジネスプロフィールや、無料で登録できるポータルサイトへの掲載なら、費用をかけずに医院情報を整えられます。有料の広告も、1日の予算を設定して小規模に始められるため、目的と上限額を決めたうえで取り組むとよいでしょう。
施策の反応が出るまでの期間の目安はどのくらいですか
Web広告は配信を始めた時点から表示されるため、短期間で反応を確認しやすい方法です。一方、ホームページの検索対策や口コミ・紹介は、積み重ねが前提のため一定の期間を見込みます。
矯正治療は検討期間自体が長いため、その期間も考慮しながら数字を定期的に確認して判断するとよいでしょう。
口コミやビフォーアフターを集客に使ってもよいですか
条件を満たさずに広告や発信に使用することはできません。
患者の体験談を医院の広告に使うことは認められていません。治療前後の写真は、限定解除の対象となるホームページなどで、治療内容・費用・リスクの詳細な説明を付した場合に限り掲載できます。
まとめ
矯正歯科のマーケティングは、患者理解、発信内容の設計、手段の選択、効果の検証の順に進めることが大切です。
あわせて、医療広告ガイドラインのルールを確認しながら進める必要があります。
地域で医院の情報を知ってもらう選択肢の1つとして、NTTタウンページが運営するiタウンページへの掲載があります。無料の「Myタウンページ」から登録でき、「地域名+矯正歯科」のように地域と診療内容で探している人が、診療時間やアクセスを確認できます。
※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。サービス内容・料金・掲載条件・広告審査基準・法令・ガイドラインは変更される場合があるため、最新情報は各公式サイト・各媒体の案内をご確認ください。
※本記事に記載されている会社名、製品名、サービス名はそれぞれ各社の商標および登録商標です。
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